「スノッブ効果」は、恋愛やマーケティングで活用されている心理学用語です。まず結論から言ってしまうと、「スノッブ効果」とは、手に入れることが難しいほど需要が増加し、手に入れることが簡単なほど需要が薄れていくという心理効果を言います。
この記事では、「スノッブ効果」の意味や実験などを解説しながら、恋愛やマーケティングに活用する具体例や類語、英語表現、論文もわかりやすく紹介していきます。
マーケティングで活用することで、あなたの携わっている商品やサービスなどのビジネスが繁盛するきっかけになるかもしれません。
「スノッブ効果」の意味とは?
「スノッブ効果」の意味は、「希少価値に惹かれる」という心理学用語
「スノッブ効果」とは、同じ商品を大勢の人が保有していると、その商品に対して希少価値がつかないため、その商品に対して購入意欲が下がるという心理効果です。
スノッブ効果を簡単に説明すると、希少価値による購買心理を促進する心理学で、品薄になるとどうしても欲しくなってしまうような心理状態になるという意味を持ちます。
つまり、「限定性」や「希少性」が価値を持つようになるということです。
よく作用する「スノッブ効果」には、
- 「みんなやってるからやりたくない」
- 「みんな持ってるからいらない」
があります。
これは個人の趣味嗜好によってわかれてしまう部分ですが、このような考えをするときがあるという場面に出会したときは「スノッブ効果」が働いていると言えます。
「スノッブ効果」が働く身近な事例
最近での具体例を挙げると、新型コロナウイルスでマスクの商品で品薄が続きましたね。
このとき、希少性が高まったのでマスクの購買意欲が増したはずです。
つまり、スノッブ効果が働いたということになります。
他人と違う商品をあえて保有することで、「自分だけ特別なんだ…」という優越感を得たいと考えることもスノッブ効果と言えるので覚えておきましょう。
「スノッブ効果」の語源と由来とは?
「スノッブ効果」は「バンドワゴン効果」と「ウェブレン効果」と一緒に提唱されました。
「スノッブ効果」の語源は、元々イギリスの学生の間で使われていた隠語
18世紀はじめのケンブリッジ大学(イギリス)で、「大学内に出入りする大学とは関係のない人々」を指す学生たちの隠語として「靴屋(snob)」が使われており、これが語源であるとする説が一番濃厚です。
スノッブ効果はアメリカの理論経済学者であるハーヴェイ・ライベンシュタインによって提唱された心理用語です。
同様に同じ人が「バンドワゴン効果」と「ウェブレン効果」を提唱しています。
「スノッブ効果」の実験とは?
スノッブ効果が実証された実験について詳しく解説します。
「スノッブ効果」の実験概要
スノッブ効果の実験は、社会心理学者であるステファン・ウォーチェルが行いました。
「スノッブ効果」の実験内容
被験者にクッキーの評価をしてもらうのがこの実験の目的です。
まず、被験者は2つの瓶に入ったどちらも同じ味のクッキーを食べます。
それぞれの瓶の中身は以下のようになっています。
- 10枚のクッキー
- 2枚のクッキー
それぞれには同じ味のクッキーが入っていますが、2つの瓶に入ったクッキーを食べた被験者に味の評価をしてもらい価格を設定します。
「スノッブ効果」の実験結果
この実験の結果、多くの被験者が2枚のクッキーが入った瓶の方が美味しいと答えました。
つまり、数が少ないことにより、被験者は高価なものだと勘違いをしてしまい高い評価をしたのです。
この実験の結果からスノッブ効果が実証されました。
「スノッブ効果」の類語とは?
「スノッブ効果」に意味が似ている心理学の「バンドワゴン効果」と「ヴェブレン効果」を紹介します。
「スノッブ効果」の類語は、以下の2つがあります。
- バンドワゴン効果
- ウェブレン効果
それでは1つずつ解説していきます。
類語1.「バンドワゴン効果」
「バンドワゴン効果」とは、マーケティングや経済学、政治学、社会学でよく使われる行動心理学の用語で、ある選択肢を大勢が選択していることで、その選択肢を選択する人がさらに増加するという心理効果です。
簡単に説明すると、世の中の流行りや周囲の評判を判断材料にしてしまうことです。
つまり、「みんながやっているから」「みんなが買っているから」「みんなも知っているから」などの理由に基づく安心感や欲求などにより、効果が働く心理用語です。
そもそも、「バンドワゴン」とは、行列の先頭に立つ、楽隊車を意味し「時流に乗る」、「勝馬に乗る」、「多勢に与する」という意味を持ちます。
日本人は流行に弱いので、この「バンドワゴン効果」が日常的に働いていると言えます。
類語2.「ヴェブレン効果」
「ヴェブレン効果」とは、ブランド消費が代表の例で、商品やサービスの価格が高く、それを手に入れること自体に特別な消費意識・欲求が生まれるという心理用語です。
簡単に言うと、高価な商品やサービスは質が良いという心理が働き、購買心理が高まるということです。
ヴェブレン効果は「顕示効果」とも呼ばれています。
米国の経済学者・社会学者であるソースティン・ヴェブレンが「有閑階級の理論」で、黄金狂時代の米国の有閑階級に特徴的だった、「見せびらかし」の消費(顕示的消費)について言及したことから由来しています。
GUCCI(グッチ)やCHANEL(シャネル)のような高額なブランド品を購入してしまうような心理の説明として使われています。
価格が高いほど、質が優れていると勝手に思い込むのもウェブレン効果が働いている一例です。
セールのときに、割引率が80%と同じ割引率の2つの商品があった場合、値段が高い商品の方がお得だと感じてしまうことも効果が働いている証拠と言えます。
「スノッブ効果」の英語表現とは?
次に「スノッブ効果」がどのように英語で表現されているのかを解説します。
英語で「Snob Effect」
「スノッブ効果」は英語表記で「Snob Effect」と表記します。
「snob effect 」で「スノブ効果」と読まれることもありますが、これは間違いではありませんので念のため「スノッブ効果」と一緒に覚えておくと良いでしょう。
また「snobbism(スノビズム)」と表現されることもあります。
「スノッブ効果」は英単語の「snob」と効果の意味を持つ「Effect」から由来している名前ですが、「snob」とはどういう意味を持つのでしょうか?
「スノッブ効果」の「Snob」の意味
「snob」とは以下の意味を持ちます。
- 俗物
- エセインテリ
- 通ぶる人
「Snob」の英語例文
以下では、「snob」を使った英語例文をご紹介します。
- a musician snob(ミュージャンを気取る人)
- My son is not a snob.(私の息子は俗物ではありません)
「スノッブ効果」の事例とは?
「スノッブ効果」という心理用語は、具体的にどの場面で利用されているのかを解説していきます。
企画商品で使われている例
旅行や観光先でお土産を買おうとしているときに、つい「ご当地限定」というワードに惹かれてしまうことはありませんか?
このように「ご当地限定」や「地域限定」などのワードはスノッブ効果が働きます。
例えば、よく見るもので「ハローキティ」のご当地キーホルダーなどが人気なのはこのスノッブ効果によるものです。
つまり、期間を限定するようなワードは、「希少性」や「特別感」を与やすいワードなのです。
ですから、期間を限定するようなワードをマーケティングで用いることで、スノッブ効果が働き消費者の購買意欲が高まります。
このようにスノッブ効果はビジネスにおいても利用される心理学なのです。
「スノッブ効果」を恋愛で使う方法とは?
スノッブ効果は恋愛においても活用できる心理学です。
アプローチしたい人だけにアプローチをする
アプローチしたい相手を見つけた時に、他の人も複数とかいる中で、その相手だけにアプローチをするとスノッブ効果が働きます。
そうすることで、「あなただけに特別感を持って話してますよ」という雰囲気を作ることができます。
なぜ効果的なのかというと、独占欲を刺激することで存在感をますことができるからです。
自分で自分のことを「特別な存在です」と伝えることはできないので、しぐさや態度であらわすようにしましょう。
「スノッブ効果」をマーケティングで使う方法
スノッブ効果は、マーケティング戦略として用いられることが多く、Web広告やブログでの商品やサービスの紹介をするときに使うことができます。
さらに、大勢にターゲットを当てる必要はなく、希少性の高い商品が欲しい人のみにターゲットを絞って宣伝をすると効果的です。
「スノッブ効果(希少性)」と「バンドワゴン効果(流行)」を組み合わせたマーケティング
「期間限定」や「会員限定」、「先行予約限定」、「年末年始限定」などの宣伝方法は、スノッブ効果を使ったマーケティング手法です。
スノッブ効果が働くワードを以下にまとめたので、商品やサービスを使うときに使ってみましょう!
スノッブ効果が使えるワード集
- 期間限定
- 数量限定
- 地域限定
- 数量限定
- 先着◯個限定
- 世界で◯個
「スノッブ効果(希少性)」と「ヴェブレン効果(高級感)」を組み合わせたマーケティング
「あの大人気商品が再び進化して再販売決定!」というキャッチフレーズは、安心感と特別感を感じるため、すごく魅力と信頼感が生まれます。
これを利用することで、以前と同様の売上を見込めるでしょう。
商品作りに活用できるマーケティング
また、スノッブ効果は、話題の商品作りに向いています。
例えば、
- バルミューダのような高額なキッチン家電
- クラフトビール
- 透明な歯の矯正器具
- スナップチャット(短い動画&動画が消える)
などがスノッブ効果を使ったマーケティング手法で話題になったものです。
スノッブ効果は、「世の中に回ってないモノを話題にさせたい!」というときにぜひ活用してみましょう。
「スノッブ効果」をマーケティングで使う注意点
スノッブ効果を使うことで、売れすぎてしまうと効果が効かなくなってしまうので、スノッブ効果の乱用は避けましょう。
人気商品になってしまうと売れなくなってしまう
スノッブ効果は、他の人が持っていないものが欲しいというような希少価値を求める方に対して効果を発揮します。
そのため、人気商品になってしまった場合は売れなくなってしまう傾向があるのです。
「スノッブ効果」の論文とは?
ここでは「スノッブ効果」の論文をまとめておきます。
ぜひ参考にしてくださいね!
消費者間ネットワークと購買行動:スノッブ効果とスノッブ効果
- 著者情報:桑島 由芙
- 所属:東洋大学経営学部
同一消費者内で発生するスノッブ効果とスノッブ効果
- 著者情報:新垣 優樹、柴山 優奈、服部 拓真、鷲田 和宣、呉 シンエ、鈴木 愛恵
- 所属:中央大学商学部
関係性から見る購買行動―ネットワーク分析を用いてー
- 著者情報:桑島 由芙
- 所属:東京大学大学院経済学研究科博士課程
Bandwagon, Snob and VeblenEffects in the Theory of Consumers’ Demand
- 著者情報:H. Leibenstein
- 所属:Oxford University
ライベンシュタインおよびロルフスのバンドワゴン効果論
- 著者情報:佐野正博
- 所属:不明
まとめ
さいごに、この記事でお伝えしたことをまとめると以下の通りです。
スノッブ効果が効く人は、『オンリーワン思考』と『自己主張』が強めです。
ですが、スノッブ効果で集客ができると、バンドワゴン効果でさらに集客ができるのです。
売れない商品や利用されないサービスにはたらく効果をイメージして、付加価値をつけ、情報とアプローチ方法を練っていくだけで売れるようになります。
こういった行動心理は、集客率や宣伝効果を上げるだけでなく、買う気を起こさせたり、人とのコミュニケーションにも活用することができます。
スノッブ効果という心理効果を使えば、
- 集客率が上がる
- 売れる商品を再現できる
- 購買意欲を高める
などの効果が期待できます。
誰かにスノッブ効果を教えるときは、「ここだけの話…」と添えて話をしてみてくださいね!
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