VPNとは?初心者にもわかりやすく解説

VPNとは?初心者にもわかりやすく解説
最終更新日:2024-03-12

VPNを接続することで、社内の専用ネットワークへアクセスできたり、海外の専用サイトを閲覧できたりします。通常のインターネット環境よりもセキュリティを高められるため、セキュリティ対策の一環として導入されるケースも増えています。

しかし、「そもそもVPNってどんなサービスなの?」「VPNに接続するメリット・デメリットって何?」などの疑問が出てくるでしょう。

そこで本記事では、VPNの仕組みや種類、できることを解説します。VPNに接続するメリット・デメリット、よくある質問もまとめているため気になる人はぜひチェックしてください。

VPNとは?接続の仕組み・種類をわかりやすく解説

VPNとはVirtual Private Networkの略で、日本語訳すると「仮想専用通信網」と呼ばれています。インターネットと通信デバイスの間をVPNが繋ぐことで、第三者からのアクセスや攻撃を防ぐことが可能です。

また、VPN接続を行う際は通信環境がすべて暗号化されたり、通信時に認証を行ったり様々な機能が取り入れられています。これらの機能を活用することで、よりVPN接続の安全性を高めて快適な通信環境を構築しています。

ここでは、VPN接続の仕組みや種類について解説します。

VPN接続の仕組み

VPN接続の仕組みは、以下3つの機能が用いられています。

  • トンネリング
  • カプセル化
  • 認証

それぞれ順に解説します。

トンネリング

VPN接続のトンネリングとは、仮想的な通信経路を構築する技術を指します。基本的にはネットワーク上の2拠点間を繋ぐ直接回線であり、VPN接続における基幹機能です。

一般的にインターネットは不特定多数が様々なWebサイトへアクセスが可能です。一方、VPN接続のトンネリング機能を活用すれば、通信拠点間に仮想トンネルを構築し、外部からのアクセスを遮断します。結果として、第三者から通信回線の情報を見られることなく、インターネットのやり取りが可能です。VPN接続に非常に近い機能として、WebサイトのSSHなどが挙げられます。

また、VPN接続には情報漏洩を防ぐ手段として「暗号化」が用いられています。暗号化とは、トンネル内で送受信するデータに他者から読み取られないよう暗号文へ変換する技術です。

VPN接続の暗号化はブラウザ上の暗号化とIP Sec-VPNによる暗号化の2種類が施されます。通信経路上のデータを暗号化によって秘匿することで、万が一通信が傍受されても内容を確認できなくしています。

カプセル化

VPN接続のカプセル化とは、トンネル内を行き来するデータをパッケージ化する技術を指します。トンネリングによって独立した通信経路を構築できたとしても、情報にセキュリティがかけられていなければ第三者からトンネル内に侵襲されると内容が筒抜けになってしまいます。

やり取りするデータをパッケージ化することで、トンネル内に侵入されたとしても性質や特性などの情報が盗み見られることはありません。カプセル化はデータをカプセル上に覆うイメージから名付けられています。そのため、VPN接続されたデータはカプセルに包まれた状態でやり取りされているとイメージされることが多いです。

また、カプセルには指定された受信者に直通でデータを届けられるよう設定されています。通信データや制御情報を含んだ内容は「ヘッダ」と呼ばれており、到着と同時にヘッダと外部情報が取り込まれる仕組みになっています。

EthernetやIP・TCPなど、複数のデータを多段的にカプセル化し、通信データのやり取りを行うことでIPアドレスなどの識別番号が守られています。そのため、一見するとトンネルは両橋が直結されるように見えており、外部に情報が漏れないように設定されていることからVPN接続は高いセキュリティが維持されると言えます。

認証

VPN接続の認証とは、VPNサーバーへアクセスするデバイスやユーザーを識別する技術です。VPN接続によりトンネル構築したとしても、出入り口が空いていては外部からの侵入を許してしまいます。トンネルへアクセスしようとする利用者に対して認証を行い、条件を満たしている場合のみ通信が可能になります。

また、VPN接続の認証には様々な種類が存在しており、認証方法が異なります。代表的なVPN接続の認証方式は、以下のとおりです。

  • パスワード認証:専用のパスワードやID情報を用いる認証方式
  • デバイス証明書:承認デバイスによるアクセスか確認する認証方式
  • 多要素認証:パスワードだけではなく電話番号や指紋など複数の情報を用いる認証方式
  • SSO:別サービスと同様のIDで認証し、統合的にチェックする認証方式

VPNサービスによって導入している認証方式は異なります。管理の手間やセキュリティレベルに合わせて選択が必要です。

VPNの種類

VPNには複数の種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。VPNを構築する仕組みから異なるケースもあるため、サービスを選択する上で必ずチェックが必要です。VPNの種類は以下のとおりです。

  • インターネットVPN
  • IP-VPN
  • エントリーVPN
  • 広域イーサネット

それぞれ順に解説します。

インターネットVPN

インターネットVPNとは、インターネット上に仮想のネットワーク環境を構築する接続方式です。トンネリングや暗号化などの技術を用いて、安定したセキュリティ環境で通信ができます。インターネットVPNはインターネット環境さえあれば、専用ルーターへ接続するだけで導入ができます。専用ルーターは通信事業者からレンタルするケースが多く、専門知識があるなら自社で設定・保守運用も可能です。

また、インターネットVPNはセキュリティプロトコルにIPsecを使用した「IPsec-VPN」と、SSLを使用した「SSL-VPN」の2種類があります。

IPsec-VPNとは、IPsecと呼ばれるIPパケットを暗号化する技術を用いた接続方式です。専用ソフトウェアを導入し、IPパケット単位で情報の整合性を確認するため、インターネットVPNのセキュリティ環境を高められます。

SSL-VPNはSSLと呼ばれる暗号化したデータをインターネット上で送受信できる技術を用いた接続方法です。専用ソフトをインストールすることなく、ネットワーク内のゲートウェイへ専用機器を設置するだけで導入が可能です。ただし、Webブラウザ対応のアプリケーション以外はSSL-VPNの対象外となるため、あらかじめ注意しましょう。

インターネットVPNは一つのルーターで1〜3エリアに対応でき、導入コストが他のVPN接続方式よりも安価に設定されています。VPNに特化した専用網を準備する必要もないため、簡単かつコストを抑えられる点がインターネットVPNの最大のメリットです。

一方、インターネットVPNはセキュリティ強度が他のVPN接続方式に比べて弱いです。専用線を活用する接続方式ではなく、インターネットをベースにしたオープンな環境で通信しています。インターネット上で外部から不正アクセスを受けたり、同じ回線から情報を盗み見られたりするリスクがあります。インターネットVPN接続時はフリーWi-Fiなどの通信環境が安定しない場所での利用を控えるなどの、通信リテラシーを高める必要があります。

コストを抑えつつ小規模拠点でVPN接続を開始する場合は、インターネットVPNの導入が最適と言えるでしょう。

IP-VPN

IP-VPNとは、閉域ネットワークを活用する接続方式です。閉域ネットワークはインターネットから分離されたネットワーク環境を指しており、限られた範囲だけで接続を行います。通信事業者が提供する閉域IPを活用し、専用線に近いインターネット環境を構築します。

IP-VPNは帯域保証型回線と呼ばれる技術を採用しており、回線の利用状況に関わらず一定の通信速度が担保されています。外部からの影響を受けることが少なく、安定かつ高品質なネットワーク環境を利用可能です。5〜10拠点向けの接続方式であり、ある程度規模の大きい企業に採用されているケースが多いです。

IP-VPNのメリットとして、セキュリティ強度の高さが挙げられます。閉域ネットワークを活用することでセキュアな環境構築が可能です。帯域保証型回線を利用することで、拠点数が増えてもセキュリティを高めて高品質な通信環境を保ちたい場合に最適です。

一方、IP-VPNは導入コストが非常に高いです。通信事業者の閉域ネットワークを使用する仕組み上、他のVPNより費用が高い傾向にあります。自社での環境構築も難しいため、全て外部業者へ委託することになります。IP-VPNは運用コストよりも高品質かつ安定的なインターネット環境を構築したい事業者に最適と言えるでしょう。

エントリーVPN

エントリーVPNとは、ADSLや光ブロードバンド回線などを使用して、閉域IP網を構築する接続方式です。ブロードバンド回線は比較的安価に導入できるケースが多く、インターネットVPNと同程度のコストで環境構築が可能です。

エントリーVPNは閉域網によって通信回線を構築するため、通常回線やインターネットVPNなどよりもセキュアな環境を作り出せます。閉域網による独自の回線で他からの不正アクセスやデータ盗聴を防ぐことができ、高い強度と信頼性のある通信環境を構築が可能です。

一方、エントリーVPNは通信速度が遅くなる可能があります。使用するブロードバンド回線が混雑している場合は、エントリーVPNの通信回線も遅くなります。一定の通信速度ではなく、ブロードバンド回線お使用状況によって左右されてしまうのは、エントリーVPNのデメリットです。

エントリーVPNはトータルバランスの優れている接続方式です。コストを抑えつつセキュアな通信環境を構築でき、基本的には安定した通信速度を保てます。突出して特徴の大きい部分はありませんが、バランスの優れた接続方式を検討しているなら最適と言えるでしょう。

広域イーサネット

広域イーサネットとは、RIPやOSPFなど通信事業者が提供している閉域網を活用し、仮想ネットワークを構築する接続方式です。

IP-VPNと非常に似た接続方式ですが、プロトコルの柔軟性に違いがあります。IP-VPNが使用可能なプロトコルはIPに限定されている一方で、広域イーサネットは様々なプロトコルに対応しています。IP以外のプロトコルに対応することで、高度なカスタマイズが可能です。パケット構成やデータ形式などIP-VPNでは対応していない部分も調整できるため、自由度の高いネットワークを構築できるでしょう。

また、広域イーサネットは通信品質や安全性も優れています。様々なプロトコルに対応することで、IP-VPNのデメリットとして挙げられていた部分を克服しています。

しかし、広域イーサネットは導入・運用コストが他の接続方式に比べて高額です。全ての拠点でルーティング設定が求められるため、拠点数が増えるほどコスト面の負担が大きくなります。さらに、広域イーサネットの自由度の高さから、ネットワーク設定が難解になりやすいです。システムの構築に対して柔軟性が求められる場合は広域イーサネットの導入が最適と言えるでしょう。

VPN接続でできること

近年はビジネスシーンにてVPN接続が導入されているケースが増えています。テレワークなど働き方の柔軟性が求められる中、安心した通信環境を構築できるVPNは非常に重要と言えます。

VPN接続によって実現できることは、以下のとおりです。

  • データ通信の暗号化
  • 地理的制限の回避
  • IP マスキングが可能
  • 公共Wi-Fiの利用

それぞれ順に解説します。

データ通信の暗号化

VPN接続にでできることとして、データ通信の暗号化が挙げられます。VPNの代表的な機能の一つで、アクセスに使用するインターネットをトンネリング技術を用いて暗号化します。VPN接続中は接続先との通信情報は全て暗号化されており、送受信するデータも全て対象です。

VPN接続の暗号化は「秘密鍵暗号化方式」と「公開鍵暗号化方式」の2種類に分けられます。秘密鍵暗号化方式とは、データの受信者と送信者に同様の秘密鍵を付与し、秘密鍵がなければ情報を展開できない仕組みです。秘密鍵がなければ送受信した情報を確認できないため、外部に情報が漏れる心配なくデータをやり取りできます。ただし、秘密鍵暗号化方式は事前に秘密鍵を共有した上で情報のやり取りを行うため、やり取りをした際に秘密鍵が流出するとセキュリティは瓦解してしまうでしょう。

一方、公開鍵暗号化方式は公開鍵と秘密鍵の両方を揃えていなければ情報の展開ができない仕組みです。公開鍵は第三者でも使用できますが、秘密鍵を持っているユーザーしか作成ができません。別ユーザーが公開鍵を作成することはできないため、二重のロックをかけた状態でデータのやり取りが可能です。公開鍵暗号化方式は受信者がそれぞれ秘密鍵を持っており、受信した情報を公開鍵と連動されることでデータを展開するため、事前に鍵データのやり取りが不要です。

公開鍵暗号化方式と秘密鍵暗号化方式にはそれぞれ特徴があります。やり取りを行うデータやシーンによって、暗号化の方式を使い分けると良いでしょう。

地理的制限の回避

VPN接続を利用することで、地理的に制限された通信の回避が可能です。VPNサービスの多くは、様々な国にサーバーを保有しています。日本だけではなくアメリカやイタリアなど、全世界にサーバーを保有することで現地のインターネット環境へのアクセスを可能にしています。

VPN接続によって異なる国のサーバーに接続することで、地域に制限されたコンテンツへのアクセスが可能になります。国によって特定地域のIPアドレスからのアクセスを制限することがあります。動画配信サービスやWebサイトなどは地理的なアクセス制限がかけられているケースが多いです。例えば、国内のサーバーからアクセスできないサイトも、海外サーバーへ接続することで閲覧できることがあります。

しかし、VPNによって海外サーバーへ接続すれば、自身のIPアドレスを接続国の内容に変更できるため、地理的制限の回避が可能です。特に中国などは地理的制限が非常に厳しく、海外からアクセスできないことが大半です。VPNを利用すれば海外でインターネット環境を使用する際にも役立つため、大きな特徴の一つと言えるでしょう。

IP マスキングが可能

VPN接続の特徴として、IPマスキングが挙げられます。IPマスキングとは、IPアドレスを隠したり、別のIPアドレスへ書き換えたりする技術です。IPマスキングを行うことで、インターネット上でユーザー情報の匿名化が保たれます。例えば、他者からIPアドレスを辿られたり、Web上の閲覧履歴を追跡されたりするリスクが低減します。

プロキシサーバーへの接続や公共のWi-Fiへの接続を行うことIPマスキングは可能です。しかし、IPアドレスを変更するだけで閲覧履歴が追われたり、セキュリティ面が脆弱になってしまったりします。

一方、VPN接続はIPマスキングによって情報を隠すことができ、IPアドレスを第三者に見られることはありません。VPN接続によって本当のIPアドレスを受信した場合でも、サイトやアプリに送信されるの別のIPアドレスです。結果的に第三者にIPアドレスを公開することなく、セキュアな環境で通信を実現します。

情報漏洩を防ぐ手段の一つとして、VPN接続によるIPマスキングは有効と言えるでしょう。

公共Wi-Fiの利用

VPN接続によって公共WiFiも安心して利用が可能です。公共WiFiは誰でも無料で利用できることから、非常に利便性の高いサービスです。

しかし、セキュリティ面のリスクが非常に高く、使用には危険が伴います。特に正体不明のWi-Fiは非常に危険性が高く、専用ツールを使用すれば接続ユーザーの情報を簡単に閲覧できます。フリーWi-Fiの中にはなりすましWi-Fiとして、偽のアクセスポイントを作成して個人情報を抜き取られるケースがあります。悪質なWi-Fiの場合は接続するだけでフィッシング詐欺にあったり、ウイルスに感染したりするリスクがあります。

一方、VPNに接続していれば公共Wi-Fiを使用してもIPマスキングとトンネリング技術によって、ユーザー情報を盗み見ることはできません。VPN接続中は情報が全て暗号化されるため、万が一悪質なWi-Fiに接続してしまったとしても高いセキュリティで情報を保護してもらえます。

普段から公共のWi-Fiを使用するシーンが多い人にとっては、VPN接続は非常に利便性の高い機能と言えるでしょう。

VPN接続のメリット・デメリット

ここでは、VPN接続を行うメリット・デメリットを解説します。それぞれ順に紹介するため、VPNの利用を考えている人はぜひチェックしてください。

VPN接続のメリット

VPN接続を行うメリットは、以下の通りです。

  • リモートで特定のネットワークへアクセス可能
  • セキュリティリスクの低減

それぞれ順に解説します。

リモートで特定のネットワークへアクセス可能

VPN接続を利用することで、リモート環境でも特定のネットワークへアクセスが可能です。VPNは専用の通信環境を構築するため、拠点間に回線を敷設することなく、自宅や外出中でも通信が可能です。

社内システムなど、公開されていなかったりIPアドレスに制限がかかっていたりするサイトへアクセスする際に有効です。

一般的に企業の社内システムなどはアクセス制限がかけられており、通常のインターネット環境ではアクセスできません。特に近年は社内のDX化推進や新型コロナウイルスの影響により、リモートワーク制度を導入する企業が増加しています。しかし、VPN接続をすることなく、一般の通信環境で社内システムへアクセス可能な場合、他ユーザーも簡単にアクセスできてしまいます。顧客の重要なデータを預かるビジネスシーンにおいて、非常にリスクの高い状況です。

そこでVPNを接続すれば、セキュリティをパスしてアクセスが可能です。安全な通信環境でリモートワークを実現したいと考えている企業にとっては最適と言えるでしょう。

セキュリティリスクの低減

VPN接続を行うことでセキュリティリスクを低減し、安心できるインターネット環境で通信が可能です。

一般的な通信回線から社内ネットワークへ接続する場合、最低限の保護しかないためサイバー攻撃やデータの抜き取りの被害に遭う可能性があります。特にフリーWi-Fiなど公共のインターネット環境はセキュリティ環境のリスクが高く、誰でも容易に社内ネットワークへアクセスが可能です。顧客情報や機密データの流失は、社会的な信用を著しく失ってしまうでしょう。

一方、VPNは既存のインターネット回線を使用することなく、独自の回線を用いて通信します。データのカプセル化や暗号化など様々なセキュリティ対策を活用可能です。通信データを外部に露出することがないため、セキュリティリスクを軽減できます。フリーWi-Fiや自宅のネットワーク環境を使用していたとしても、VPNに接続すれば外部からのアクセスを防げます。そのため、社内の機密データを安心して扱えます。

さらに、VPN接続はセキュリティリスクを防ぎつつ、コストを抑えて通信が可能です。既存のインターネットを活用している場合でも、VPNによってクローズドネットワークを構築できます。専用線を引くことなくセキュリティレベルの高い環境を作り上げられるため、コストを抑えたい企業にとっても最適と言えるでしょう。

VPN接続のデメリット

VPN接続を行うデメリットは、以下の通りです。

  • 完全に情報漏洩を防げない
  • 通信速度が低下する可能性がある
  • コストが高くなる場合もある

それぞれ順に解説します。

完全に情報漏洩を防げない

VPN接続を導入したとしても、完全に情報漏洩を防ぐことはできません。VPNはセキュリティレベルを上げる非常に有効な手段ではあるものの、サイバー攻撃から守ることはできず、場合によっては情報漏洩が発生します。

例えば、VPNに使用するルーターに設定ミスがあったり、ソフトウェアが正しく設定されていなかったりするとウイルスの侵入を許してしまいます。人為的なミスだけではなく、導入するVPNによっても対応できないウイルスが存在します。一度ウイルスの侵入を許してしまうと、どれだけセキュリティ対策を行っていたとしても情報漏洩は発生します。そのため、情報漏洩のリスクを防ぐためにも、VPN以外に以下の対策が必要です。

  • 個人情報や機密データを端末に保管しない
  • VPN設定のルールを策定する
  • 従業員のセキュリティリスクに関する意識を高める
  • 定期的にセキュリティチェックを実施する

これらの対策を並行して行い、セキュリティリスクを低減することが重要です。

通信速度が低下する可能性がある

VPNを利用するデメリットとして、通信速度の遅さがあげられます。VPNを利用することで、通信データの暗号化に時間がかかってしまい通信速度が遅くなるケースがあります。

さらに、VPNは公共のインターネット回線を用いているため、利用するタイミングによっては通信速度が遅くなります。インターネットVPNをはじめとするベストエフォート型だと通常時はVPNを接続していたとしても速度が遅くなることはありませんが、ユーザーが増加する時間帯は通信が混雑してしまいパケットの肥大化によって通信が遅くなってしまいます。

別の接続方式を採用しているVPNでも、保有するサーバー数の少ない場合は利用する回線が集中するため通信速度が遅くなりがちです。IP‐VPNなどのギャランティー型のVPNの利用し、保有しているサーバー数が多いサービスを利用すると良いでしょう。

また、VPNの通信速度は利用するタイミングだけではなく、導入するサービスや設置している機器によって異なります。どれだけサーバー数が多いサービスでも、暗号化自体に時間を要する場合は通信速度が遅くなってしまいます。導入した専用機器とPCの互換性が悪いなどの可能性もあるため、利用する際は様々な問題点を考慮した上で導入しましょう。

コストが高くなる場合もある

VPNを導入するデメリットとして、コストが高くなるケースが挙げられます。閉域網の導入に比べると安価に済みますが、利用時には初期費用と月額費用の2つコストがかかります。VPNの導入に関する初期費用とは、拠点にルーターを設置する費用やネットワークの工事費などが挙げられます。

VPNのランニングコストは保守点検費用や専用のクラウド製品の導入、VPNサービスの月額費用などがあります。VPNを使い続けるためには、初期費用とランニングコストが必要になることから、コストをかけたくないと考えている場合はデメリットと言えるでしょう。

また、構築するVPNの種類によって費用は異なります。既存のインターネット回線を利用するインターネットVPNが最もコストが安く、セキュリティレベルの高い広域イーサネットや柔軟性のあるエントリーVPNなどは費用がかさむ傾向にあります。

さらに、選択するVPNサービスによって月額費用にも違いがあります。サーバー拠点すの多さや最大接続可能な端末数、セキュリティ環境など様々です。多数の機能が搭載されているVPNサービスの場合、月額費用が高く設定されている傾向があります。すべての機能を使いこなすのは非常に難しいため、使用頻度に高さや目的に合わせて必要な機能を把握しておくと良いでしょう。

VPN接続に関するよくある質問

ここでは、以下のようなVPN接続に関するよくある質問をまとめました。

  • VPNをON(オン)にするとどうなるの?
  • VPNをOFF(オフ)にするとどうなるの?
  • VPNはスマホでも利用できますか?
  • VPNを利用する上で危険性はありますか?

それぞれ順に解説します。

VPNをON(オン)にするとどうなるの?

VPNをオンにすることで、サービスが起動し接続されているインターネットトラフィックが暗号化されます。VPNをオンに切り替えることで、インターネット回線を暗号化し、外部から情報を閲覧できなくします。暗号化された情報は第三者からの閲覧を防ぐため、個人情報の保護によりプライバシーやセキュリティ環境の向上が期待できます。

また、VPNがオンの状態だとハッカーやフィッシング詐欺などのサイバー攻撃も防げます。自身のIPアドレスを守りながら、希望するサーバーへ接続するためセキュリティ面を格段に向上させられます。多くのVPNサービスは自動接続が選択されており、オンオフを切り替えることなくサービスを利用できます。

自身でVPNのオンオフを切り替える場合、公共WiFiやインターネットに関する規制が強い地域に滞在している際はオンに設定しておきましょう。公共WiFiはインターネットのセキュリティレベルが低く、情報を盗み見されるたりサイバー攻撃に会いやすくなったりします。VPNをオンにすることでトラフィックを保護するため、公共WiFiに接続していても第三者からのアクセスを防ぎます。

インターネット規制が厳しい地域でも、VPNなら自由に通信が可能です。ネット規制の厳しい地域では、現地のネットワークへ接続しているとアクセス制限がかけられたり、特定のコンテンツを閲覧できなかったりします。VPNをオンにすることで、専用サーバーへ接続しアクセス制限を回避しながらインターネットの説欄が可能です。VPNサービスの中にはキルスイッチと呼ばれる、VPN接続切断時に自動的にインターネット接続も切断する機能が搭載されています。キルスイッチを活用すればインターネット規制が厳しい地域でも安心して通信が可能でしょう。

VPNをOFF(オフ)にするとどうなるの?

VPNの接続をオフにすると、基本機能がすべて停止します。オンの状態ではVPNに搭載されている機能を活用できますが、オフにすると接続自体が解除された状態になります。

VPNをオフにすると発生すると、以下のようなリスクが発生してしまいます。

  • セキュリティ環境の低下
  • プライバシー保護の不足
  • 個人情報や閲覧データの漏洩
  • サイバー攻撃のリスク増加
  • 閲覧ログの記録

VPNをオフにするとその時点で接続風のインターネット環境は暗号化されなくなります。インターネット接続の暗号化が行われないことで、セキュリティ環境の低下が発生し、サイバー攻撃に遭うリスクが増加します。IPアドレスを元にしたプライバシー保護が不足してしまったり、個人情報・閲覧データを第三者から盗み見られたりするリスクが増加します。

さらに、VPNをオフにすることでIPアドレスが露出するため、トラッキングが発生する可能性があります。トラッキングによって第三者からIPアドレスが盗まれ、不正アクセスが行われることがあります。VPNをオフにするだけで、セキュリティ面のリスクが提言するため、サービス利用中は自動接続もしくはオンに変更しておきましょう。

VPNはスマホでも利用できますか?

VPNはスマホでも利用が可能です。対応しているOSや環境などはVPNサービスによって異なりますが、有料VPNの大半がスマホアプリを用意しています。VPNアプリをインストールすることで、スマホ上でもブラウザと同様にサービスの活用が可能です。もちろん、VPNサービスによってはタブレットも接続できます。

VPNアプリは通常のVPNサービスと同様の機能を搭載しており、通信データの暗号化が行われるためセキュリティレベルを高めた状態で通信が可能です。普段から使用しているスマホで送受信している情報は、常に危険に晒されています。一歩間違えればフィッシング詐欺などのサイバー攻撃に巻き込まれる可能性も少なくありません。VPNアプリをインストールし、オンにしておくだけで格段に高いセキュリティレベルでトラブルを防ぎます。

また、スマホの自動設定で近くにあるWiFiに接続されてしまい、第三者から情報が盗み見られたり抜き取られるリスクがあります。しかし、VPNアプリを起動させておくだけで、専用サーバーからWiFiへアクセスが可能です。ブラウザと同様にやり取りするデータは暗号化され、IPアドレスは外部から把握できないため、安定した通信環境でインターネットへ接続できるでしょう。

VPNを利用する上で危険性はありますか?

VPNにも危険性は存在します。VPNに接続するだけですべての脅威から情報を守ることができるわけではありません。VPNは送受信するデータを暗号化し、外部から情報を閲覧できなくする仕組みです。

しかし、VPNに接続していたとしても、利用するネットワークやサーバーから情報を抜き取られてしまったり、セキュリティの脆弱な部分を狙って攻撃を仕掛けてたりします。特にアップデートされていないソフトウェアや導入した機器を原因として情報漏洩が発生したケースは少なくありません。

近年んではテレワーク端末がマルウェアに感染し、直接やり取りしていなくても社内ネットワーク環境上、サイバー攻撃を受けてしまうこともあります。VPNに接続しているから安心なのではなく、常に最新のセキュリティ環境を整えることが重要です。社内や個人のIT・セキュリティリテラシーを身につけるだけでもセキュリティの危険性を低減させられます。常にセキュリティリスクに晒されていると把握しておきましょう。

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