2020年4月、緊急事態宣言発令直後に、Twitterでは安倍首相を擁護するような内容のツイートが大量に発生。
そして、その2ヵ月前には、安倍首相がランサーズ社長と会食をしていたと報道。
これらのことから、「ランサーズが安倍首相からネット工作の仕事を依頼されたのでは?」と噂になっていました。
この記事では、
「実際にランサーズと安倍首相につながりはあったのか?」
「ネット工作による印象操作は事実なのか?」
を徹底調査していきます。
もくじ
安倍首相とランサーズは無関係
結論として、安倍首相とランサーズは無関係でした。
安倍首相がネット工作の仕事をランサーズに依頼していたというのも、事実無根のデマです。
印象操作と誤解された問題のツイートについて、当事者が以下のブログで真実についてまとめているのでご覧ください。
参考:https://uchimall.hatenablog.com/entry/2020/04/08/195801
要約すると以下のようになります。
- Twitterで「おじさん構文」を面白がって、コピペして共有する遊びが流行
- まぐろさんが「おじさん構文」で安倍首相の名前を含んだツイートをする
- 多くの人がまぐろさんのツイートをコピペ
- 大量発生したツイートを5chでランサーズの印象操作と書き込みされる
- 政治アカウントがスクショを引用しTwitterで投稿
- 多くの政治アカウントが対抗し、拡散
- ラサール石井氏がコメントしたことでさらに拡散
ちなみに「おじさん構文」とは、おじさんが、女性に対して絵文字やカタカナ表記を多用して送る文章を真似して考えられた型のことです。
『オジサンになりきろう講座』
これを見れば、オジサンの文章を作ることができます。
このツイートのリプライ欄であなたのオジサンの文(クソリプ)を待ってます。#おじさんあるある#あるある#すれみ1日1絵 pic.twitter.com/9n0RkJf0eN— すれみ (@_Smitter2) April 1, 2017
たまたま、おじさん構文の中に安倍首相の名前が含まれていただけで、根拠のない噂が拡散してしまいました。
以上のことから、安倍首相とランサーズは無関係であることがわかります。
Twitterが理由でネット工作と疑われるように
新型コロナウイルスの流行が見られ始め、2020年4月7日に安倍首相が緊急事態宣言を発令しました。
この会見の後に、Twitterで全く同じ内容のツイートが大量に発生します。調べると大量のツイートが残っていることもわかります。
この大量発生したツイートは、おじさん構文の遊びであったため、安倍首相並びにランサーズは、一切関係がありませんでした。
著名人も憶測を拡散
ある政治アカウントの、大量発生したツイートをまとめたスクショが添付されたツイートに対し、ラサール石井氏が引用ツイートをしています。
著名人であるラサール石井氏の引用ツイートによって、さらに憶測を拡散することになりました。
うわあ、すげえ。怖い。これはお金もらわないとできないなあ。無給でやってるとしたら、もうカルト。 https://t.co/qg3H1uN6J4
— ラサール石井 (@lasar141) April 8, 2020
安倍首相とランサーズ社長が会食
2020年2月25日に、安倍首相がランサーズ社長らと会食をしていたことが報道されました。
ランサーズという会社は、日本最大級のクラウド・ソージングサービスです。
だれもが仕事を発注することができて、だれもが仕事を受注することができます。
ランサーズの特徴から、
- 安倍首相がネット工作をする人を雇ったのでは?
- 安倍内閣政府とランサーズが裏でつながっているのでは?
と憶測の原因となったことが考えられるでしょう。
ランサーズは過去に政治関係の仕事を掲載していた
もう一つ憶測の原因が、過去にランサーズで政治関係の仕事を掲載していたことでしょう。
仕事の内容は、「女性が輝く先進企業表彰」のロゴデザイン募集です。
また、ランサーズの取引先に内閣府の記載がありました。
取引があったのは、この一度きりであったため、2019年8月時点で記載は削除されています。
ユーザーによる違反申告でしかわからない
2017年10月27日より、ランサーズでは政治系記事案件の掲載を中断としています。
しかし、2020年に安倍首相の印象操作と取れる案件が掲載されたのです。
実際に違反案件となるかは、ユーザーによる違反申告でしかわからないのもあるため、今回の事件をややこしくしているといえるでしょう。
安倍首相のようなことが起きた場合のランサーズ対策
安倍首相のネット工作とデマが流れたことで、ランサーズがとった対策は2つです。
- 徹底的な事実の否定
- 法的措置
1つは、反響の大きいツイート、いわゆるバズったツイートに対して事実無根であると否定する内容の返信を行っています。
もう1つは、法的措置に踏み切ったことです。
法的措置
一部SNSにおいて、政府を擁護するような同一内容のツイートが複数回投稿され、それをランサーズが行いネット工作をしているという事実無根の投稿がありましたが、そのような事実は一切ありません。本件及び今後の法的対応等を含めてお知らせを出させて頂きました。 1/nhttps://t.co/uo3vpPoTLF
— 秋好陽介@ランサーズ (@AkiyoshiYosuke) April 8, 2020
多くのデマが行きかう中、ランサーズ社長の秋好陽介氏はツイッターで否定と法的措置をとることを表明しました。
公式HPでも正式な声明文を発表しています。
参考:https://www.lancers.co.jp/news/info/19323/
まとめ|安倍首相とランサーズは無関係
本記事では、安倍首相とランサーズが無関係であるのかを調査しました。
調査の結果、安倍首相もランサーズも根拠のないデマによる被害者であることがわかっていただけたでしょう。
悪気はなかったとはいえ、遊びでツイートに安倍首相の名前を含めてしまったがゆえに、思いもよらないほどの大きな事件となってしまいました。
まさに今回のことは、バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)ともいえるでしょう。
バラフライ・エフェクト(butterfly effect, バタフライ効果)とは、ほんの些細な事がさまざまな要因を引き起こした後、非常に大きな事象の引き金に繋がることがあるという考え方のこと。引用元:シマウマ用語集
そして何よりも、私たち一人一人が根拠のないデマに惑わされないよう、正しい情報と誤った情報を見抜く力を身に着けることが大切です。
安易な憶測によるデマを信じて、企業や個人を非難してしまうと法的措置によって罰せられる可能性も出てきてしまいます。
情報を鵜呑みにせず、一度立ち止まって「本当にその情報の根拠は正しいのか?」と意識することから始めてみてください。